相続した不動産の売却で税金はどうなる?主な税や手続きの流れを紹介

売却記事

篠原 大輔

筆者 篠原 大輔

不動産キャリア5年

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不動産を相続した後、その売却を考え始めるとき、「どのような税金がかかるのだろう?」と疑問に思う方は少なくありません。税金の仕組みはとても複雑に感じられがちですが、ポイントをおさえれば安心して進めることができます。この記事では、相続した不動産を売却する際に発生する主な税金や特例、所有期間による負担の違い、手続きの基本的な流れまで、やさしく解説します。初めての方も安心して読み進めていただける内容です。

相続した不動産売却にかかる主な税の種類と基本的な計算フロー

相続した不動産を売却する際に理解しておきたい税金には、以下のような種類があります。

税名 内容 計算ポイント
譲渡所得税・住民税 売却による利益(譲渡所得)に課税される税金 譲渡所得=譲渡収入-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
印紙税 売買契約書の作成時に貼る収入印紙にかかる税金 契約金額に応じて税額が異なる(税率表による)
登録免許税 名義変更や抵当権抹消などの登記にかかる税金 課税標準に応じて定率で算出される

まず、譲渡所得税と住民税についてですが、譲渡所得とは「売却代金から取得費や譲渡費用、さらに適用できる特別控除を差し引いた金額」です。取得費とは購入代金や手数料、建物なら減価償却費を差し引いた金額です。取得費がわからないときは、売却代金の5%を取得費とみなす「概算取得費」が認められます。

税率は所有期間によって異なります。譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年以下なら「短期譲渡所得」となり、所得税約30.63%+住民税9%、合計約39.63%です。一方で5年を超えるなら「長期譲渡所得」となり、所得税約15.315%+住民税5%、合計約20.315%が課されます。

次に、印紙税は売買契約書の額面に応じて定められており、契約時に貼付して納税します。具体的な税額は税率表に準じますが、売却価格に比例します。

最後に登録免許税ですが、不動産の名義変更(相続登記)や抵当権の抹消などで必要になります。課税標準(不動産の評価額など)に定められた税率をかけて計算されます。

以上の流れをまとめると、まず譲渡所得を算出し、所有期間に応じた税率を適用して譲渡所得税・住民税を計算します。その上で、印紙税や登録免許税など、売却に際して発生する諸費用も加味します。正確な税額を把握し、安心して売却を進めるためには、関係書類をそろえて税理士や司法書士に相談されることをおすすめします。

相続不動産売却で利用できる代表的な税の特例と控除

相続した不動産を売却するときには、税負担を軽くする特例や控除制度がいくつかあります。ここでは代表的な制度を3つ、分かりやすく表でまとめました。

特例名 概要 主な注意点
取得費加算の特例 相続税の一部を取得費に加算することで譲渡所得を減らし、所得税・住民税の節税につながります。 相続税が課税されていることが前提で、申告期限(相続開始から10か月)後3年以内の売却が対象です。
空き家特例(3000万円特別控除) 相続または遺贈で取得した被相続人の居住用家屋を売却した際、譲渡所得から最大3000万円控除できます。 昭和56年5月31日以前の建築、売却価格1億円以下、2027年12月31日まで売却などの要件があります。
特例の適用期限と併用不可のポイント 取得費加算と空き家特例は、両方の要件を満たす場合でも併用はできず、有利な方を選ぶ必要があります。 空き家特例の適用期限は2027年12月31日まで延長されています。特例によって控除額や適用範囲が異なります。

それでは、それぞれの特例についてもう少し詳しくご説明します。

取得費加算の特例は、売却益(譲渡所得)の計算に際して、相続税の一部を「取得費」として加算できる制度です。相続税の支払いがあり、かつ相続税の申告期限(相続開始から10か月)から3年以内に売却したことが条件です。これにより課税対象額が下がり、節税効果が期待できます。確定申告書に所定の「計算明細書」を添付して申告します(所得税および住民税の税率は所有期間によって異なりますが、長期譲渡所得なら約20%ほどです)。

空き家特例(3000万円特別控除)は、被相続人が住んでいた「空き家」やその敷地を売却した場合、譲渡所得から最大3000万円を控除できる制度です。適用には以下のような要件があります:昭和56年5月31日以前の建築物であること、相続した家屋とその敷地を相続したこと、売却価格が1億円以下であること、相続開始後相続人が売却するまでの期限は2027年12月31日まで(令和6年以降は耐震改修や取り壊しの工事を譲渡後に買主がする形でも適用可能)などです。

また、適用期限の延長によりこの制度は現状、令和9年(2027年)12月31日まで有効です。耐震改修や取り壊しの要件も緩和され、譲渡の翌年2月15日までに買主が対応すれば適用されることもあります。

なお、取得費加算の特例と空き家特例はいずれも譲渡所得を減らすものですが、同じ不動産に対して両方を使う(併用する)ことはできず、どちらか有利な方を選択する必要があります。

相続不動産の売却にあたって、どの特例が自分に適しているのか、またどれがより節税につながるかは状況によって異なりますので、申告前にぜひご相談ください。

:相続不動産の所有期間による税率の違いと税負担への影響

相続した不動産を売却する際、「所有期間」によって適用される税率が大きく異なります。短期間での売却(所有期間5年以下)では「短期譲渡所得」として高い税率が課せられ、一方で長期間保有(5年超)すると「長期譲渡所得」として税負担が軽減されます。また、「所有期間」の計算には被相続人が取得した時期も含めて判定されます。

所有期間の計算は、売却した年の1月1日時点で、被相続人が取得した日から通算して5年を超えているかどうかで判断されます。そのため、相続後にすぐ売却した場合でも、親が長年所有していた不動産であれば、長期譲渡所得が適用されるケースもあります。例えば、被相続人が取得してから既に10年経過していた場合は、相続後に短期間で売っても長期扱いとなります。

税率の違いは下表のとおりです。

区分所有期間税率(所得税+復興特別所得税+住民税)
短期譲渡所得5年以下約39.63%(所得税30.63%+住民税9%)
長期譲渡所得5年超約20.315%(所得税15.315%+住民税5%)

例えば、譲渡所得(利益)が2000万円だった場合、短期譲渡所得であれば税額は約792万円、長期譲渡所得であれば約406万円となり、実に386万円もの差が生じます。このように、所有期間が数か月違うだけで税負担に大きな影響を及ぼすため、節税を検討される方は、売却のタイミングを慎重に選ばれることをおすすめします。

申告・納税のタイミングや税務手続きの流れ

相続した不動産の売却に伴い、必要な申告や納税を円滑に進めるためには、各手続きのタイミングと流れを理解して準備することが重要です。

まず、譲渡による利益(譲渡所得)が発生した場合には、売却した翌年の「2月16日から3月15日」までに確定申告を行い、所得税および復興特別所得税を納付します。住民税については、この申告をもとに翌年度に課税され、給与所得者であれば給与から差し引かれる方法が一般的です。特例の適用を受ける場合、利益がゼロやマイナスでも申告が必要となります。譲渡所得が発生しない場合や特例を利用しない場合には、申告が不要となりますが、税務署による確認が入ることもあります。

住民税の納付は、一般に翌年6月以降となります。給与所得者の場合は給与から天引きされ、個人事業主など普通徴収の場合は6月に納付書が届き、自治体により数回分割で支払う方式が利用できます。

税務手続きをスムーズに進めるためには、以下の準備が不可欠です:

準備項目 内容
相続登記(名義変更) 令和6年4月1日以降、相続発生から3年以内に登記が義務化。必要書類の収集と法務局への申請が必要です。
売却に関する書類の整理 売買契約書、取得費・譲渡費用に関する領収書など、税計算に必要な証拠資料を整理しておきます。
申告期限の把握 譲渡所得が生じる場合は翌年2月16日~3月15日に申告・納税、住民税は翌年6月以降の納付。

これらの準備を整えておくことで、確定申告・納税までの流れが滞りなく進み、不要なトラブルや延滞も避けられます。必要な書類の漏れや期限の取り違えがないよう、余裕をもって対応することをおすすめします。

まとめ

相続した不動産を売却する際には、譲渡所得税や住民税、印紙税、登録免許税など複数の税金が関わります。これらの税金は制度や計算方法が独特なため、事前に知識を持っておくことで、思わぬ負担を防ぐことができます。また、取得費加算の特例や三千万円特別控除など、有利に使える制度も用意されていますが、適用条件や期限に注意が必要です。所有期間による税率の違いも税額に大きく影響するため、自分のケースがどちらに該当するかを確認しましょう。申告や納税の準備も早めに進めることで、安心して手続きを完了できます。不明点や個別の状況があれば、早めに専門家へ相談しましょう。

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